漢方薬・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は上半身の水(すい)の流れが悪いことが原因の”めまい・耳鳴り・頭痛など”に処方されます。その漢方薬に匹敵するご飯(薬膳)を考えてみた。

①苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)の中身と効能。
②苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)と同じようなパワーを持つご飯とは。
③薬膳は「お薬になるご飯(お膳)」なので食材の組み合わせで漢方薬の効能に近づくことができる。
この3つがおすすめメニュー
- ハトムギとえんどう豆のご飯withショウガ
- あさりのお味噌汁
- もやしとピーマンの黒酢炒め
苓桂朮甘湯は「身体の水(すい)の巡りが悪い、上半身で溜まってしまっている」ことが原因で出るめまいなど頭部に出る症状の改善に良い漢方薬です。
身体の水の巡りを良くするには温かい「気」が必要です。
食べたり飲んだりしたものをしっかり消化吸収することで質の良い「気」が脾胃が作られます。
このことから脾胃も養ってあげないといけません。
この3つのメニューで脾胃を元気にし、上半身の余分な水を回して、症状をスッキリさせましょう。
ここからメニューに使われる食材のことなどを詳しく見ていきましょう!
01.
苓桂朮甘湯とは
苓桂朮甘湯の中身
(4種類の生薬から苓桂朮甘湯は出来ています。)
茯苓(ブクリョウ)・桂皮(ケイヒ)・白朮(ビャクジュツ)・甘草
大変シンプルな漢方薬です。
私の個人的な感想ですが、漢方薬はシンプルなものが効き目も早く出やすいと思っています^^
*桂皮は上半身のむくみ改善にとてもいいです。上半身に溜まった水を温めて流してくれます。
どんな症状に使われるのか。
- 水滞によるめまい
- 頭痛
- 不安感
- 耳鳴り
- 高血圧性のめまい
- 自律神経失調症
メインに使われる症状としては、めまい、立ちくらみ、頭痛、精神的な不安&神経のたかぶりがある人向けの漢方薬になりますが、胃の調子が悪い・弱い人、むくみで冷えを感じやすい人にも良い漢方薬です。
胃の調子が悪い人は気虚(ききょ・元気の気が減っている)がみられます。疲れやすい、何かするにもおっくうだ、など。これらの症状も緩和していきます。
02.
おすすめ①
ハトムギとえんどう豆ご飯withショウガ
●ハトムギ
胃腸の調子を整えて、身体の中の水の流れを良くし、余分な水分を排出。
五味:甘味
五性:涼性
帰経:脾・肺
昔からイボ取りの民間薬として知られているハトムギですが、身体の中の余分な水を排出してくれる優秀な食材です。
むくみの改善にもとっても良いです。普段の食事で食べられてますが優秀すぎるので漢方薬でも使われています^^
●えんどう豆
ハトムギと同じように胃腸の調子を整えて、身体の中の水の流れを良くし、余分な水分を排出します。
豆類は元気の「気」を補充してくれる食材にもなります。
★苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が処方される方は気虚(ききょ・元気の気が減っている)がみられます。疲れやすい、何かするにもおっくうだ、など。
豆類は気虚の改善にとてもいい食材です。
五味:甘味
五性:平性
帰経:脾
さやにぎっしり詰まっていることから金運アップの食材とも言われる、えんどう豆。えんどう豆に限らず、豆類は元気の「気」の補充ですし、身体の中の溜まった水を巡らせて、湿気にならないように(湿気になるとむくみとなります)します。
この余分な水が溜まって身体を巡らないことを漢方では水滞(スイタイ)というのですが、これがひどくなるとむくむだけでなく、めまいや頭痛、吐き気という困った症状が現れます。
米類(イチオシは”もち米”、2番手は”玄米”です。)
米類は元気の「気」を補充してくれます。1番のおすすめはもち米で2番目は玄米ですが、なければ白米でもかまいません。お米を食べることによってお腹が元気になり、消化吸収がよくなることで力がつきます。体力気力がつきます。
- もち米
五味:甘味
五性:温性
帰経:脾・肺
元気をめちゃくちゃ補ってくれるもち米。食欲がなかったり、身体や心がだるい、気力がないときにおすすめです。
もちろん、下痢になりやすいや消化不良、汗をよくかく人や頻尿の改善にいいです。もち米だけで補中益気湯の代わりになりそうな勢いです^^
●補中益気湯に匹敵するご飯の記事はこちら
- 玄米
五味:甘味
五性:平性
帰経:脾・肺
玄米も身体に元気を与えてくれて、お腹(胃腸)の働きをよくしてくれます。マグネシウムも豊富なので頭痛持ちの方はぜひ食べてみてください。そのほか鉄分やリンなどのミネラルも多いです。
●ショウガ
身体を温めて冷えを取ります(身体が温まると気持ちも前向きになります)身体が温まると滞ってた水がきちんと巡るようになり、むくみやめまいの解消につながります。
五味:辛味
五性:温性
帰経:脾・肺
お料理で使う生のショウガは香りがとてもいいです、この香りが「気」を身体の隅々に運ぶことで身体が温まります。そして気力が生まれ元気が出ます。
吐き気やイライラしたときにも役に立つショウガです。風邪を引いたときは寒気のあるときだけ食べましょう。熱が出てから食べると身体の水分が発散されて乾燥がすすみますので控えましょう。
03.
おすすめ②
あさりのお味噌汁
●あさり
水分代謝をあげてくれますし、血を補って、気持ちも落ち着けてくれます。
五味:しおから
五性:寒性
帰経:肝・脾・腎
あさりは薬膳では春の食材です。そしてパカっと口が開くことから運が開ける縁起の良い食材でもあります^^
春に良い食材とあって気持ちのたかぶりやイライラを鎮めてくれるあさり。ストレスがひどくなると水を隅々に運ぶ「気」の流れが詰まってしまい、水滞(水の流れが止まる)になります。
●みそ
むくみ改善にいい。身体の中の余分な水分の排出です。
五味:しおから
五性:寒性
帰経:脾・腎
お味噌汁は即席でも良いので一日一杯は飲むといいと思います。大豆から出来ているので身体の水分の調整をしてくれますし、あの味にほっとしますね。心と身体の緊張を取ることは未病を防ぐことになります。
特に朝に飲むと1日”地に足をつけて、落ち着いて過ごせる”グラウンディング効果がありますよ^^ネギ(乾燥ネギでもOK)を入れると身体の温め、わかめ(乾燥わかめでOK)を入れると身体の余分な熱を冷まして水分代謝を良くしますので味噌と合わせてダブル効果ですね。
03.
おすすめ③
もやしとピーマンの黒酢炒め
●もやし
その人にあった身体の水分量を調整してくれます。夏バテやむくみの改善。
五味:甘味
五性:寒性
帰経:心・脾
スーパーで一袋40円ぐらいで売ってるもやし。実はお財布に優しいだけではなく、身体にもとっても優しい&優秀な食材です。ご存じ水分たっぷりなのでお肌の乾燥にも良いです。
●ピーマン
五味:甘味・辛味
五性:温性
帰経:肝・心・脾・腎
五臓のうち4つ(肝・心・脾・腎)も元気にしてくれるピーマン。ウツウツした気分をスッキリさせてくれますし、清らかな水を生み出すのに大事な脾胃(消化吸収の働き)を元気にしてくれます。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が処方されるタイプのめまいや不安感にはこの清らかな水を飲食から作り出すことも大事です。流れのある水は心も身体も健やかに保ってくれます。
●ピーマンでウツウツ解消について詳しく知りたい方はこちら。
●黒酢
身体を温めて血行を良くし、食欲を促進します。
五味:酸味・苦味
五性:温性
帰経:肝・脾
黒酢は身体を温めて血行を良くし、血の流れの悪いところを改善します。酸味によって気の流れも良くなるのでストレスでウツウツした気持ちも発散させます。
ストレスで気の流れが悪いと身体が冷えます、冷えると血や水の流れも悪くなります。血の流れが悪くなると生理痛や頭痛、刺すような痛みの元になります。
水の流れが悪くなると「身体の水の巡りが悪い、溜まってしまっている」ことが原因で出る症状、となるわけです。めまいや頭痛、不安感、自律神経のバランスが崩れるというものです。
04.
薬膳 かんたんレシピ
2人前
ハトムギとえんどう豆のご飯withショウガ
●材料
ハトムギ 大2、えんどう豆 100g
お米 2合、ショウガ 少々
お塩小1
*ハトムギは硬いのでお米売り場で砕いてあるものを使うと便利。
●作り方
1.ハトムギとえんどう豆をお米2合と炊きます。
*丸いそのままのハトムギを使う場合は硬いので一晩から一晩と半日ぐらい水につけておきます。
2.炊き上がったらショウガを千切りにしたものを乗せます。
3.めちゃ簡単なのに本格的薬膳ご飯の出来上がり♪
たったのこれだけ。混ぜて炊くだけ!とっても簡単に漢方薬に匹敵するご飯が作れましたね^^
チサ
2人前
もやしとピーマンの黒酢炒め
●材料
もやし 1袋、ピーマン 3個
炒め用のサラダ油 大1、黒酢 大1〜2
●作り方
1.もやしはヒゲを取ります(邪魔くさいけど美味しくなるから)、ピーマンは短冊切りにします。
2.フライパンに油を入れて熱し、もやしとピーマンを入れます。
3.もやしもピーマンも「シャキッと」感を少し残したぐらいで火を止め、黒酢をかけて
ざっくり混ぜたら出来上がり♪
またまたチョーかんたんに出来ました。ちなみに黒酢は美人の素と中国では言われているそうです。
チサ
●こちらの記事もおすすめです。
漢方薬・半夏厚朴湯(ストレスで喉に何か詰まったような感じがする症状に処方される)
に匹敵するご飯を考えた記事です。
●気虚を改善するのにいい、アボカドの記事です。
●ご参考までにクラシエさんの 苓桂朮甘湯のページ もご紹介しておきます。
漢方薬は漢方薬局や漢方外来でご相談の上、服用するようにしてくださいね。
体調を整えるお手伝い 【薬膳エネルジーア】やってます。
体調を整えるお手伝いをしています。
体質や(その時の)体調と食材とのマッチングが薬膳ではとても大切です。
今のこの心のゆらぎ、体調だから「この食材とあの食材を組み合わせよう」そして不調をケアする。
このマッチングは漢方薬膳をみっちり勉強しないとなかなか難しいのです。
「ツイッターや何かで見たけど、こうだろう」では間違える確率が高い。なぜならその情報は他大勢に対しての発信だからです。オーダーメイドではないのです。
そうならないように私がお手伝いしていきます。
不調の時に「あれ食べる?これ食べた方がいいの?」なんて、しんどいのに考えてられません。
そこを私が引き受けます^^
不調をどうやってケアしようかと考える時間や病院に行く時間を自分の自由な、好きなことを出来る時間に変換する。
今まで掛かっていたお薬代でカフェでお茶したり、我慢していた好きなものを買う。 時間とお金をもっと自分の楽しみのために遣いましょう!
不調をケアするためのやり取りは残るので、サポート終了後もそれを見返すことで不調をコントロール出来るようになります。
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